tomohxxの日記

麻雀プログラミング

天鳳牌譜解析(3) 配牌時シャンテン数別和了率

はじめに

今回は配牌時シャンテン数別和了率を求めます。これまでの牌譜解析と同様に、過去に天鳳で行われた牌譜を解析し以下の和了 \hat{p}を求めます。


\displaystyle
\hat{p} = \frac{\mbox{あがった回数}}{\mbox{配牌の回数}}
\tag {1}

ただし、あるシャンテン数の手牌が与えられたときにあがれる確率を予測することを目的とします。そこで統計学の「母比率の推定」を行います。簡単に言うと、和了率が含まれるであろう区間を求めようというものです。和了率は牌山やプレーヤーの組合せ、サイコロの目によって決まると考えると、これらは確率的に変化するので、和了率を確率変数と考えることができます。

母比率の推定

 n回の配牌の内、あがった回数を X回とすると、 Xは二項分布 Bin(n, p)に従います。ここで p和了率で、これを推定します。 nが十分に大きいとき、中心極限定理により Xを標準化した値 Zの分布は N(0, 1)に従うとみなせます。


\displaystyle
Z = \frac{X-np}{\sqrt{np(1-p)}}
\tag {2}

標準正規分布表から -1.96 \le Z \le 1.96となる確率は95%です。この式を変形すると次のようになります。


\displaystyle
\hat{p}-1.96\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}} \le p \le \hat{p}+1.96\sqrt{\frac{p(1-p)}{n}}
\tag{3}

 \hat{p} X/nで表される標本比率です。 nは十分に大きいので近似的に不等式の左辺と右辺の p \hat{p}で置き換えます。


\displaystyle
\hat{p}-1.96\sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}} \le p \le \hat{p}+1.96\sqrt{\frac{\hat{p}(1-\hat{p})}{n}}
\tag{4}

(4)式を用いて、95%の信頼係数での和了率の信頼区間を求めます。

結果

2016年から2018年の天鳳鳳凰卓東南戦を対象にしました。配牌時シャンテン数別和了率とその信頼区間は以下のようになりました。配牌時シャンテン数の期待値は約3.5なので、サンプル数の少ない配牌時テンパイの和了率の信頼区間が広くなっていることがわかります。

配牌時シャンテン数 あがった回数 配牌の回数 和了率(95%信頼区間)
0 1245 1756 0.709 (±0.0212)
1 63829 133838 0.477 (±0.00268)
2 675721 200894 0.336 (±0.000653)
3 1891813 7772906 0.243 (±0.000301)
4 1517705 8562389 0.177 (±0.000256)
5 360619 2812440 0.128 (±0.000391)
6 17154 179607 0.0955 (±0.00136)

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配牌時シャンテン数別和了

おわりに

最近統計学を勉強しているので麻雀研究に応用してみました。今回のテーマでは大量のサンプルを得ることが容易にできましたが、別のテーマでもそうできるとは限りません。その際には誤差や信頼区間を使った議論をしないと、信頼できる結論を出すことが難しいのではないかと思います。今回身につけたノウハウを今後も生かしていきたいです。