一人麻雀における和了確率を書き下す(1)
はじめに
ここでは一人麻雀における和了確率を扱います。このテーマでよく見かけるのは、聴牌している手があってその有効牌の枚数を枚、壁牌の枚数を枚としたときに巡以内に和了する確率がで表せるというものですね。では一向聴の手が和了する確率はどのように表せるでしょうか?これは総和と組合せを使えば表せますが単純な形ではありません。ちなみに数値的に解く方法についてはこちらを読んでください。
聴牌形の和了確率
なぜ単純な形にならないかと言うと自摸が非復元抽出だからです。逆に言えば復元抽出、あるいは巡目が壁牌の枚数に対して無視できるほど小さいという仮定を設定すれば和了確率を単純な形で書くことができます。まずは聴牌形の場合で和了確率がどのように表せるのか確認してみましょう。聴牌形で復元抽出を仮定すると和了確率はとなります。非復元抽出の場合と比較して簡単になりましたね。
一向聴形の和了確率
次に本題の一向聴の手を扱います。一向聴の手があって聴牌するのに必要な牌の枚数を枚、聴牌してから和了するのに必要な牌の枚数を枚とします。例えば両面-両面一向聴牌の手ではとなります。巡目に一向聴である確率を、聴牌である確率を、和了である確率をとすると、これらは以下の連立確率漸化式で表せます。
ここでとすると、
となります。(6)式を形式的に解くと
となるのでを求めることにします。(5)式よりですがこれを(4)式に代入するとについての隣接三項間漸化式が得られます。後は定石に沿って計算するだけです。なおの場合との場合で分けて考えなければなりません。現実的に後者の場合はありえないのですが一応計算することにします。
の場合
(4)式と(5)式より
が得られます。これらを解くと
となります。(10)式から(11)式を辺々引きます。
整理して
が得られます。これを(7)式に代入して計算すると
となります。なお(14)式ではとなるのでの範囲の制限を削除しました。
最後にを計算します。
よって求める解は
です。
の場合
(4)式と(5)式より
が得られます。これを解くと
となります。両辺をで割ります。
とおくと
のように等差数列の形式に変形できます。これを解くと
となります。をに戻します。
これを(7)式に代入して計算すると
となります。なお(23)式ではとなるのでの範囲の制限を削除しました。
まとめ
とすると
と表せます。