一人麻雀における和了確率を書き下す(2)
はじめに
前回の記事で一人麻雀の和了確率を扱いました。当初2回目を書く予定はなかったのですが、行列を使った解き方のほうが見通しが良さそうなのでこの記事を書くことにしました。また前回は一向聴の手だったので今回は二向聴の手を扱うことにします。
二向聴形の和了確率
二向聴の手があって一向聴になるのに必要な牌の枚数を枚、そこから聴牌するのに必要な牌の枚数を枚、そこから和了するのに必要な牌の枚数を枚とします。枚の牌があるとして、巡目に二向聴である確率を、一向聴である確率を、聴牌である確率を、和了である確率をとするとこれらは以下の連立確率漸化式で表せます。なお前回と同様に捨てた牌を再び引けるという復元抽出を想定しています。
ここで
とすると、
となります。(8)式を形式的に解くと
となるのでを求めればよいです。(5)式から(7)式を以下のように行列で表します。
(10)式よりとなります。ここではそれぞれ異なるので行列は対角化可能であり固有値はです。正則行列と対角行列が存在してが成り立つのでとなります。よってが得られます。は
なので
のように表せます。初期条件より各係数を決めると、
となります。よっては
これを(9)式に代入して計算するとは
となります。なお(13)式ではとなるのでの範囲の制限を削除しました。以上が求める和了確率です。
余談
以上の議論から一般に向聴の手の和了確率が以下であると予想できます。
実際にの場合で(14)式が正しいことを確認しています。の場合で(14)式が正しいのかは不明です。もし正しいかどうか証明できた方がいましたらぜひ教えてください。
おわりに
今回は行列を使った解法を説明しました。(12)式がについての対称式になっているのがわかりやすくていいですね。(14)式が正しいのかどうか気になるところですが、非復元抽出を想定した場合の和了確率もまたについての対称式になることがわかっています。その対称性を前面に押し出した表式も気になります。