一人麻雀における和了確率を書き下す(4)
はじめに
今回はついに非復元抽出を想定して一人麻雀における和了確率を書き下します。これが本当の意味での一人麻雀です。非復元抽出を想定するとこれまで扱ってきた復元抽出よりも問題の難易度が上がります。当初は前回の解法を踏襲しようと試みたのですが私の計算能力不足のためそれが無理だったので、前回の「おわりに」で触れた手順少な目のルートを使って和了確率を導きます。
問題
向聴の手があってこのときの有効牌の枚数を枚、向聴のときの有効牌の枚数を枚、以降同様に定め聴牌のときの有効牌の枚数を枚とする。はじめ()に枚の牌があるとして巡目に和了している確率を求めよ。ただし一度捨てた牌は再び山に戻さないという非復元抽出を想定する。
解法
巡目に向聴である確率を、巡目に向聴である確率を、以降同様に定め巡目に和了している確率をとする。これらは以下の連立確率漸化式に従う。
(1)式を行列を使って書き直す。なお以降とする。
とすると
となる。(4)式を解くと
となる。ここでは下三角行列であるからも下三角行列でありその対角成分はの対角成分の積である。また下三角行列の固有値は対角成分であるがはすべて異なるからは対角化可能である。よって適当な対角行列と正則行列が存在して
のように書ける。(6)式より適当な係数を定めればは
と表せる。この係数を初期条件
によって定める。これは
と表せる。(9)式の行列をと表すことにする。はヴァンデルモンド行列式のように計算できて
である。これとクラメルの公式を使って係数は
と表せる。は余因子展開を使えば
と書ける。よって(11)式は
となる。ここで(7)式を整理する(に注意)。
また
なので、これを(14)式に代入して整理すると
となり解を得る。
補足
復元抽出との関係
最大値
はでとなる。