tomohxxの日記

麻雀プログラミング

天鳳牌譜解析(5) 有効牌の残り枚数

はじめに

この記事では有効牌の残り枚数について考えます。先日Twitterである方と議論をした際に、有効牌を引く確率が局を通じて一定になるかという話題が出ました。この話題からは少しそれますがこの機会に有効牌の残り枚数について調べてみようと思いました。実は以前にも有効牌の枚数について調べているのですが、もう少し詳しく調べることにします。以前の記事はこちら。
tomohxx.hatenablog.com

対象の牌譜

2018年の天鳳鳳凰卓東南戦

方法

巡目ごとに有効牌の枚数を数えて平均値を求めます。なお、牌譜解析では他家の手牌と壁牌、王牌をすべて区別した上で牌の在りかを特定することができます。そこで有効牌の残り枚数を以下のように区別して数えることにします。

  • レベル1: 他家の手牌と壁牌のすべての牌が見えない
  • レベル2: 他家の手牌は見える、壁牌は見えない
  • レベル3: 他家の手牌と壁牌のすべての牌が見える

それぞれのレベルで有効牌の残り枚数を数えます。

結果と考察

テンパイ、1シャンテン、2シャンテンの手牌について有効牌の残り枚数を調べました。3シャンテン以上の手牌については中盤以降で存在確率が低下するため記載を省略します(詳しくは過去の記事を参照)。なお、数値を記述するのが面倒なのでグラフのみ記載します(数値が気になる方はお問い合わせください)。また、サンプルが非常に多いので誤差を気にする必要はないと思われます。

f:id:tomohxx:20200511003700p:plain
有効牌の残り枚数(テンパイ)
f:id:tomohxx:20200511004522p:plain
有効牌の残り枚数(1シャンテン)
f:id:tomohxx:20200511004541p:plain
有効牌の残り枚数(2シャンテン)

有効牌の残り枚数のグラフを見ると、各レベルで曲線の曲がり具合が同じのように見えます。そのためレベル2とレベル3の有効牌の残り枚数はレベル1での残り枚数に未知牌の枚数の比をかけたものに等しいのではないかと考えられます。未知牌とは自分からは見えない牌のことです。簡単に未知牌の枚数を以下のように定義します。


\begin{array}
\mbox{未知牌の枚数(レベル1)} &= 136 - 13- 4 \times \mbox{巡目} - 1 \\
\mbox{未知牌の枚数(レベル2)} &= 136 - 4 \times 13 - 4 \times \mbox{巡目} - 1 \\
\mbox{未知牌の枚数(レベル3)} &= 136 - 4 \times 13 - 4 \times \mbox{巡目} - 14 \\
\end{array}

各式の最後の1や14はそれぞれドラ表示牌と王牌の枚数です。レベル2とレベル3の有効牌の枚数を以下のように見積もってみます。


\begin{array}
\mbox{有効牌の枚数(レベル2, 補正)} &= \mbox{有効牌の枚数(レベル1)} \times \frac{\mbox{未知牌の枚数(レベル2)}}{\mbox{未知牌の枚数(レベル1)}} \\
\mbox{有効牌の枚数(レベル3, 補正)} &= \mbox{有効牌の枚数(レベル1)} \times \frac{\mbox{未知牌の枚数(レベル3)}}{\mbox{未知牌の枚数(レベル1)}}
\end{array}

実際にレベル1での残り枚数に未知牌の枚数比をかけたものをプロットするとよく一致しているように見えます。よってレベル2とレベル3での有効牌の枚数をレベル1での有効牌の枚数から見積もることができます。

f:id:tomohxx:20200511004642p:plain
有効牌の残り枚数(テンパイ、補正あり)
f:id:tomohxx:20200511004708p:plain
有効牌の残り枚数(1シャンテン、補正あり)
f:id:tomohxx:20200511004733p:plain
有効牌の残り枚数(2シャンテン、補正あり)

おわりに

まとめ。

  • 牌譜解析により有効牌の残り枚数を調べました。
  • 他家の手牌を含めない有効牌の残り枚数、および他家の手牌と王牌を含めない有効牌の枚数は、自分から見えない有効牌の枚数に未知牌の枚数の比をかけたものに等しいと言えます。

ちょっと気になったのですが、未知牌の枚数の比で別のレベルの有効牌の枚数を見積もれることは自明なことなのでしょうか?他家がランダムに打牌するのであれば自明なのかと思いますが、どうなのでしょう?ここで調査したことに新規性があるのか疑問です。